2010 Fiscal Year Annual Research Report
原子分解能電子顕微鏡による共有結合型黒鉛化合物の局所構造観察
Project/Area Number |
21750211
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 雄太 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 研究員 (90392620)
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Keywords | 炭素 / 黒鉛 / フッ素化 / 酸化 / TEM / EELS |
Research Abstract |
本研究課題は、層状の黒鉛化合物およびその関連物質を対象として、原子レベル分解能の電子顕微鏡(TEM/STEM)による構造観察と高感度の電子分光(EELS)測定を中心に、ゲスト化学種(酸素原子、水酸基、フッ素原子など)の面内配置や炭素原子の電子状態(sp^2、sp^3)の分布を、単原子レベルで直接捉えることを目標としている。本年度は、フッ化黒鉛試料に対して低加速電圧(30kV、60kV)TEM/STEM-EELS装置を使用して観察・分析実験を実施した。この結果、電子線照射に起因する試料中のフッ素・炭素原子比(F/C)の減少速度は、昨年度実施した加速電圧120kVにおける場合と比較して、低減されることが示唆された。しかしながら今回の低加速条件においても、主に試料のチャージアップに起因するとみられる変形や振動が観測され、これらが高分解能観察において大きな障害となることも確認した。一方、酸化黒鉛由来の炭素物質として、今年度新たに遷移金属原子を分散したグラフェン試料の分析に着手した。とくにSTEM環状暗視野(ADF)像の観察により容易に検出される遷移金属原子をマーカーとすることにより、その存在位置や動的挙動と、グラフェン構造中の残留酸素原子や原子空孔などの欠陥との相関について検討した。また酸化黒鉛の関連物質として、昨年度に引き続き酸化処理を施したSWNTの低加速TEM観察も継続し、酸素原子が存在すると見られる欠陥領域の構造解析を進めた。
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Research Products
(4 results)