2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750216
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高崎 緑 信州大学, サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー, 助教 (00402149)
|
Keywords | ナノ材料 / 成形加工・処理 / バイオマス |
Research Abstract |
溶媒フリーのレーザーエレクトロスピニング法(Solvent Free-Laser Electro Spinning : SF-LES)を応用した「溶媒フリーのナノファイバー製造プロセス」を「亜臨界水処理」による原料前処理と融合した新手法により、類例の無い「桑」由来の高強度ナノファイバーを創成することと、さらに生理・薬理活性を付与した高機能ナノファイバー創成へ発展させ、これらの衛生・医療材料への応用法確立を目的とし、研究を遂行した。 H22年度は、桑由来セルロースナノファイバーの特性を調べるために、桑セルロースおよび桑/麻セルロースを抄製後に撚糸することでセルロースフィラメントを作製し、分子配向特性および力学物性を評価した。桑比率30%の試料の配向度が最も高いことがわかった。配向角はスリット方向である0°に桑比率30%が近い値を示す一方で、桑比率100%試料は配向角の絶対値が最も大きくなった。この結果は、桑比率30%ではスリット方向の分子配向が比較的高いのに対し、桑比率100%ではスリット方向の分子配向が低いことを意味する。強度・ヤング率は、桑30%が最も高く、桑100%が最も低くなった。また伸度は、桑30%が最も低く、桑100%が最も高い結果となった。 抄製段階において繊維配向制御を行った結果、フィラメントの元なる桑由来繊維集合体の繊維配向および力学物性は、楮由来繊維集合体に比べて顕著な増加はみられなかった。一方、桑由来繊維集合体の密度は低く、平滑度・通気度が高いことが明らかになった。このことから、桑由来繊維集合体をナノフィラメント化して織編加工することで、吸着素材や研磨素材等の商機能材料への応用の可能性を見出すことができた。
|