2011 Fiscal Year Annual Research Report
交互浸漬法を用いたポリイオンコンプレックス相形成によるインテリジェントゲルの創製
Project/Area Number |
21750220
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
網代 広治 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任准教授(常勤) (50437331)
|
Keywords | ゲル / 薬物送達システム / 交互浸漬法 / ポリイオンコンプレックス / N-ビニルアセトアミド / N-ビニルホルムアミド / ポリビニルアミン / 相互侵入網目構造 |
Research Abstract |
ポリ(N-ビニルアセトアミド)(PNVA)およびポリ(N-ビニルホルムアミド)(PNVF)が、第一級アミンであるポリビニルアミン(PVAm)前駆体であることを利用して、これらの共重合体を収縮させた後、ゲル表面のみを加水分解させることで、表面のみにカチオンを導入したゲルを作製し、そこへポリアクリル酸を導入することによって、表面のみにポリイオンコンプレックス相を有する「表面ポリイオンコンプレックスゲル」(sPICゲル)を作製することを研究目的にしていた。当該年度においては、sPICゲルを用いて複数薬物の放出制御を行なうことが特に目的となっていたが、薬物として、低分子アニオンであるAllur aRedを、高分子中性化合物としてFITCラベル化デキストラン(分子量約10000)を同時にsPICゲルへ担持して、その放出挙動を分析した。 まず、sPICゲルは内部のポリN-ビニルアミドが大部分を占めているため、ゲルの大きさはほとんど変化しないのに対して、pH7においてポリイオンコンプレックスを形成し、pH2ではポリビニルアミンが電荷反発により膨潤し、この変化は繰り返し観察された。 内包する薬物が中性で高分子量のものだとすると、小さい網目のときには放出が抑制され、大きな網目のときには放出されるというサイクルが繰り返され、一方、内包する薬物が低分子であってもアニオン性を示すと、sPICゲルのこの変化にやはり応答して、ゲルが中和されている条件では放出され、ゲルが帯電している条件では放出が抑制されるというサイクルが繰り返された。 つまり、sPICゲルでは、安定な膨潤度を有していながら放出制御能を有し、内包する薬物の種類に応じて放出条件が異なるという興味深い材料を構築できたと言える。 なお、本システムはポリアクリル酸の代わりにポリビニルボスホン酸を用いても可能であった。
|
Research Products
(6 results)