2009 Fiscal Year Annual Research Report
多糖の位置特異的誘導体化と高機能性付与に関する研究
Project/Area Number |
21750224
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
山本 智代 Suzuka National College of Technology, 生物応用化学科, 准教授 (80314045)
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Keywords | 多糖 / アミロース / セルロース / HPLC / 位置特異的 / 光学分割 / キラリティー |
Research Abstract |
本研究は、高度に高次構造制御された光学活性高分子であるセルロースやアミロースを出発原料とし、『水酸基を位置特異的に誘導体化した多糖誘導体の合成手法の確立』と、『導入する置換基の精査による機能発現』に関する研究を目的とするものである。本年度はまずアミロースについて、グルコース環に3つある水酸基に導入する置換基と光学分割能の関係について検討を行った。アミロースはDMSO中、ビニルエステルとの交換反応により2位の水酸基のみをエステル化することが可能である。まずは2位にメチルエステルを導入し、残りの3,6位の水酸基にはメチル基やクロロ基を有する様々なフェニルイソシアナートを反応させ、得られた誘導体をHPLC用のキラル固定相に用いてその光学分割能の評価を行った。その結果、3,6位を4-クロロ、および3,5-ジクロロフェニルカルバメートへと変換した誘導体が高い光学分割能を示すことが明らかとなり、電子吸引性のハロゲンの導入が有効であることがわかった。そこで次に、より電子吸引性の高いフルオロ基を導入することで光学分割能が向上するかどうか調べた。3-フルオロ、4-フルオロ、および3-トリフルオロメチルフェニルカルバメート化を行った結果、得られた誘導体の分割能は比較的高かったものの、その能力はクロロ基を導入したものには及ばず、またクロロ基を導入したものよりも誘導体の溶解性が高くなり、使用できる溶離液に制限が出ることが明らかとなった。一方、セルロースについてはテキシルジメチルシリルクロライドを反応させることで2,6位を保護し、3位にアリルエーテルを導入可能であることを確認したがNMRの結果からは完全に100%位置特異的には入っていないことも分かった。完全に位置特異的に置換できる条件を見つけ、今後、様々な置換基を導入した誘導体の合成と能力評価を行う予定である。
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