2011 Fiscal Year Annual Research Report
障害物中に拘束された環状高分子の物性の統計力学的研究
Project/Area Number |
21750225
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
萩田 克美 防衛大学校, 応用科学群, 講師 (80305961)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 計算物理 / 物性基礎論 / シミュレーション工学 |
Research Abstract |
格子状の障害物中に拘束された環状高分子は分岐高分子(Lattice Animal)のように振る舞うと考えられているが、分子シミュレーションでの検証は十分ではない。平成21年度~22年度の研究では、二次元空間中で1辺の大きさWの正方形の障害物を間隔Wで正方格子状に配置し、大きさWの値と、環状高分子の大きさNを変えたボンドフラクチュエーション模型のモンテカルロ・シミュレーションを行い、障害物中に拘束された排除体積を持つ孤立環状高分子の振る舞いが、分岐高分子の慣性半径がNの5/8乗に比例する予想を用いたプロップ描像に基づくスケーリング則で予想した振る舞い(慣性半径がNの5/8乗とWの3/32乗に比例)に一致していることを確かめた。重心の自己拡散係数と最長緩和時間の挙動についても確かめ、正方格子状に配置された正方形の障害物中の排除体積環状高分子は、排除体積を考慮した分岐高分子(Lattice Animal)に、プロヅブ単位で粗視化できることを明らかにした。分岐高分子鎖の粗視化シミュレーションと障害物中の孤立環状高分子の対応を調べるために、排除体積効果のある場合とない場合について、慣性半径や拡散係数、最長緩和時間の重合度依存性のべきに対応関係があることをシミュレーション実験で明らかにした。具体的には、正方格子上で一定の数のボンドで構成される分岐高分子について、末端のボンドを取り除いた後に、新たに別の末端に付ける動作を1ステップとする粗視化シミュレーションを行い、障害物中の孤立環状高分子の挙動との対応関係を調べた。ボンドを移動する分岐高分子鎖と、障害物中の孤立環状高分子の両者において、排除体積効果のない場合とある場合の双方で、慣性半径、拡散係数、最長緩和時間の重合度依存性のべきに対応関係があることを明らかにした。平成23年度は、障害物の空間分布と拘束された孤立環状高分子の空間形状の関連の検討を開始した。現在、これらに関し、系統的なシミュレーション検討について、実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度から開始した「障害物の空間分布と拘束された孤立環状高分子の空間形状の関連の検討」は、比較的多くのシミュレーション条件を基に検討するものであり、まとまった成果に至ることが現時点でできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
多数のケースについてのシミュレーション実施を効率的に進め、早期にまとまった成果となるように努力する。
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Research Products
(1 results)