2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
海住 英生 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (70396323)
|
Keywords | スピントロニクス / 磁気抵抗効果 / ナノ接合 / 有機膜 / 強磁性体 / 表面・界面状態 / 磁化状態 / 電流電圧特性 |
Research Abstract |
高度情報化社会の発展に伴い、ハードディスク装置(HDD)の更なる高記録密度化が要求されている。この高記録密度化を実現するため、現在、新たな磁気抵抗効果素子の開発が急務となっている。そこで、本研究課題では、新たな磁気抵抗効果素子として、強磁性層/有機分子/強磁性層量子十字素子を提案し、その表面・界面構造、電気伝導特性、並びに、磁気特性を調べることを目的とした。 はじめに量子十字素子の強磁性層に用いる材料として、Polyethylene Naphthalate(PEN)有機膜上のFe、Ni_<75>Fe_<25>、Co磁性薄膜の表面状態について検討した。その結果、いずれの磁性薄膜でも、表面粗さが1nm以下となり平坦性が実現することがわかった。次に、マイクロ磁気光学カー効果(MOKE)法を用いて、それらの磁気特性について調べた。その結果、Fe/PENでは、膜厚が10nm以下で角型比が0.8以下、Ni_<75>Fe_<25>/PENでは、膜厚が7nm以下で角型比が0.8以下となることがわかった。それに対し、Co/PENでは、膜厚が10nm以下で角型比が0.8以上となり、量子十字素子に適することがわかった。そこで、Co/PENを用いて、Coエッジ面を評価した。しかしながら、結果的には良好なエッジを見出すことができなかった。そこで、石英ガラス上にCoを蒸着し、そのエッジ面を評価することを検討した。その結果、極めて明瞭なエッジ面の検出に成功した。このとき、石英ガラス上のCo薄膜では、膜厚30nm以下において、表面粗さ0.5~0.8nm、角型比0.9以上が実現している。以上より、表面状態、磁化状態、及び、エッジ状態の観点から、量子十字素子の電極材料としてはCo/石英ガラスが最も適していることがわかった。最後に、本研究課題で構築した独自の成膜・研磨・エッチング技術を用いて、Co/有機分子/Co量子十字素子を作製し、その特性評価を行った。その結果、室温にて非常に興味深いエネルギー準位由来の振動現象と特異なスイッチング特性を見出すことに成功した。以上により、Co/有機分子/Co量子十字素子は新たな磁気抵抗効果素子として大きな期待がもてることがわかった。
|
Research Products
(15 results)