2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化カーボンナノチューブ電子エミッターのマルチスケール特性評価
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21760003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白鳥 洋介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (50466778)
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Keywords | 自己組織化 / カーボンナノチューブ / ナノ・マイクロデバイス / 省エネルギー / ディスプレイ |
Research Abstract |
コンビナトリアルマスク蒸着法により基板上に膜厚分布付き触媒層を形成、続く化学気相蒸着(CVD)によりカーボンナノチューブ(CNT)ライブラリを作製し、ライブラリに対するCNTの形態観察と二極型電界電子放出(FE)特性評価を行った。高速成長に適した常圧アセチレンCVDから得たライブラリの評価から、効率良くFEを引き起こすCNT作製条件を割り出すことができた(国際誌で発表)。 上記結果を基に、三極型デバイスを試作した。ゲート電極の「ひさし」を介した触媒スパッタ蒸着により、マイクロトレンチの底(カソード)2um程度の領域に数nm~0.1nmの急峻な触媒膜厚分布を形成した。先に述べたライブラリの場合、触媒蒸着時、基板上約1cmの範囲に数nm~0.1nm程度の膜厚分布が形成されるが、マイクロトレンチ内では急峻な膜厚分布が形成されるため、CVD後、異なるCNT成長領域間で相互作用が起こりやすい。したがって、蒸着膜厚やCVD条件の制御により、多様な形態のCNT集合体がトレンチ内に形成されうる。特に、優れたFE特性(低駆動電圧、長寿命)を有する三極型カソード作製条件を以下のように絞り込んだ。トレンチ内カソード上触媒担持層をアルミナ(10nm)に、触媒を鉄に、その膜厚分布を3~1nmに設計、熱CVDプロセスを経てトレンチ内部に単層および多層CNTが入り混じった集合体を実装し、トレンチライン方向約500nmの間隔毎に存在する起毛した細いCNTをエミッタとして作用させる。これら形態制御をまとめた報告を、国際誌にて発表予定である。 デバイス構造の最適化と触媒膜厚・CNT成長の制御をリンクさせたマルチスケール評価により、CNTのFE能を十分に発揮させるエミッタ実装条件絞り込みが飛躍的に進んだ。今後、ガラス基板許容汎用プロセスに本知見が生かされると期待される。
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