2009 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツパルスを用いた光誘起絶縁体金属転移ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
21760004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 誠 The University of Tokyo, 物性研究所, 助教 (40361662)
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Keywords | テラヘルツ波 / 超高速 / フェムト秒パルスレーザー / 光誘起相転移 / 金属絶縁体転移 / 光制御 |
Research Abstract |
光誘起絶縁体金属転移の機構の解明にむけて、これまでの測定に用いていたものと比べて膜厚の厚いVO_2薄膜を用意した。これまでは励起光の侵入長に比べて薄膜の厚みが薄く基板も光励起していおり、厚い試料を用意することで基板の影響を極力なくすためである。今回の厚み670nmのVO_2薄膜においても、光励起テラヘルツ波検出の時間分解透過率変化測定を行い光誘起絶縁体金属転移を観測できた。テラヘルツ波の透過率はおもに電気伝導度を反映したものである。励起直後に急峻に透過率が減少し(電気伝導度が増大に対応)、その後100ps程度までしだいに透過率が減少するという2段的な透過率の減少が観測された。この観測された振る舞いは、電気伝導度の増加(金属相の出現)を反映したものであるが、他のグループによる時間分解X線散乱測定での結果(A.Cavalleri, et al.Phys.Rev.Lett.(2001),格子構造の時間変化を観測)と非常に似ており、このことは金属に相転移するためには構造転移が必要であることを示しており、このことから光誘起絶縁体金属転移が電子的な転移でなくパイエルス的な転移によって生じていることを示していると理解される(研究発表・論文Journal of Luminescenceにて報告)。 また励起光用に、高強度テラヘルツパルスの開発も進めた。励起源として、プラズマとLiNbO_3結晶を試みた。ピーク強度として100kV/cm程度のパルスが得られた。この高強度のテラヘルツパルスを用いて、テラヘルツ波パルス励起の測定を進めていく予定である。
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Research Products
(13 results)