2009 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性金属膜/Cr2O3積層膜による室温での巨大電気磁気効果の発生
Project/Area Number |
21760013
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岩田 展幸 Nihon University, 理工学部, 講師 (20328686)
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Keywords | Cr2O3 / 最表面スピン配列 / 交換バイアス磁場 / 反強磁性ドメイン / 電磁場冷却 / 電気磁気係数 / ネール温度 |
Research Abstract |
本研究目的の一つである、強磁性金属膜/Cr_2O_3積層膜を作製し、磁化特性を室温で測定した。これまでの研究において、r面、a面、c面サファイア基板上で、Cr_2O_3薄膜はエピタキシャル成長することがわかっている。特にr面上では、その結晶構造、スピン配列と反強磁性ドメインから、電磁場冷却を行えば、r面Cr_2O_3薄膜最表面のスピン配列は、ステップが存在しようとも、常に強磁性的になることがわかっている。よって、最も大きな磁気的交換相互作用が強磁性金属と働き、大きな交換バイアス磁場が発生すると予想できる。 H21年度は、強磁性金属膜/Cr_2O_3積層膜を作製し、磁化特性を室温で測定した。r面サファイア基板上にCr_2O_3をエピタキシャル成長させ、(Co/Pt)_3/Ptをスパッタ法にて堆積させた。Co、Ptの膜厚は、それぞれ、1-3nm程度である。Cr_2O_3薄膜は、ステップ-テラス構造を持ったエピタキシャル膜であるが、サファイア基板との格子不整合に起因するグレインバウンダリーが存在し、深さ数十nmの溝を形成した。Pt(111),Co(100)優先配向をXRDによって確認した。磁化測定直前に、温度を約350Kまで上昇させ、磁場200mT、電場3.3kV/cmの元で、室温まで電磁場冷却を行った。室温でSQUID磁束計にて、磁場を変化させて磁化を測定した。保持力約200Oe、残留磁化約3.5×10^<-5>emuのヒステリシスを確認した。しかしながら、交換バイアス磁場は測定可能な分解能の範囲内ではなかった。Cr_2O_3薄膜のネール温度が307Kであるのか、電気磁気係数が単結晶バルクと同等であるのか、を調べる必要がある。また、強磁性金属膜との界面での清浄性や膜厚の最適化を行う必要があることがわかった。
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