2010 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性金属膜/Cr2O3積層膜による室温での巨大電気磁気効果の発生
Project/Area Number |
21760013
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岩田 展幸 日本大学, 理工学部, 講師 (20328686)
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Keywords | Cr2O3 / 最表面スピン配列 / 交換バイアス磁場 / 反強磁性ドメイン / 電磁場冷却 / 電気磁気係数 / ネール温度 |
Research Abstract |
昨年度、(Co/Pt)_3/Pt/r-Cr_2O_3//r-Al_2O_3積層膜を作製した。Co、Ptの膜厚は、それぞれ、1-3nm程度である。電磁場冷却後室温で磁化測定を行ったが、交換バイアス磁場(H_<EB>)は測定可能な分解能の範囲内ではなかった。 H_<EB>が測定されなかった原因は以下の3つであると考えている。[1]r-Cr_2O_3エピタキシャル成長膜最表面はステップ-テラス構造を示したが、バンチングステップも同時に存在していた。[2]深さ数十nmのグレインバウンダリーが存在した。[3]Cr_2O_3成膜後大気暴露し(CoPt)積層膜を堆積させた。そこで、本年度は問題[1,2]を解決するために、(CrAl)_2O_3をバッファー層として7-Al_2O_3上にCr_2O_3を最適条件で堆積させた。面直方向の格子不整合度は、基板上に直接堆積したCr203薄膜では+4.2%とバルクの値と一致しストレスフリーの薄膜が成長した。一方、(CrAl)_2O_3をバッファー層とした場合、(CrAl)_2O_に対しては+2.4%、バッファー上Cr_2O_3薄膜では+4.6%となって、面内では、基板格子に整合した薄膜が成長したことがわかった。しかしながら[2]のグレインバウンダリーは取り除く事ができなかった。バッファー層堆積条件を最適化する必要がある。電子デバイス応用視野に入れた場合、同時に電気伝導性バッファー層を探索する必要がある。強磁性薄膜との界面で発生する磁気的交換相互作用を最大にするためには、原子レベルで平坦なr面Cr_2O_3配向膜作製が必須である。本研究において、バッファー層探索は非常に重要なテーマである。
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