2010 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧合成条件の最適化のための新しい小型プレス開発
Project/Area Number |
21760016
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
齋藤 寛之 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 任期付研究員 (20373243)
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Keywords | 高温高圧 / 放射光その場観察 / 小型プレス |
Research Abstract |
本研究は高圧合成のための放射光その場観察に最適化した、小型高温高圧発生装置の開発を行うものである。 大容量で安定した高温高圧発生が可能なDIA型プレスは、放射光その場観察技術との組み合わせることにより、高温高圧下での物質構造研究に欠かせない装置の一つとなっている。また高温高圧合成研究においても、合成条件を効率的に決定する上できわめて有効な装置である。一方で高温高圧では試料の粒成長が頻繁に起きるが、この粒成長した試料や単結晶育成を行う試料に対しては、原理的に測定が困難であるという問題がある。本研究は軽量小型化を最優先した新しいプレスを開発することによって、プレス本体ごと試料を振動可能なシステムを構築し、高温高圧下での巨大結晶粒のその場観察を可能とし、高温高圧合成研究の加速を図ることを目的とするものである。 パームキュービックプレスは小型であるため、通常のDIA型プレスの実験でグラファイトヒータを使用する際に用いる大電流ケーブルを取り回すことが困難である。ここではグラファイトに比べ高抵抗であるEBNをヒータ材として用いることで、低電流での高温発生を試みた。パームキュービックアンビルセルに40tonの加重を加えた後にクランプし、通電・測温用の配線を接続して加熱実験を行った。六方晶窒化ホウ素で希釈したNaClを試料とし、高温高圧下での放射光その場観察による圧力測定を行った。 金型が小型であるために、主に金型の加熱変形による高温下での圧力低下が予想されたが、今回測定した4GPa,300℃以下の温度圧力範囲では圧力低下はほとんど起きなかった。なお試料位置を250℃まで加熱した際の金型の温度は約40℃程度であった。今回の実験結果から、本システムにより最低でも約500℃程度までの加熱実験が可能であると推察される。また立方晶窒化ホウ素のアンビルを用いた角度分散実験も行い、4GPa,500℃で粒成長した試料のその場観察に成功した。
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Research Products
(1 results)