2009 Fiscal Year Annual Research Report
アクチュエータ集積化プローブを用いた走査化学プローブ顕微鏡の研究
Project/Area Number |
21760020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川合 祐輔 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (20451536)
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Keywords | TOF-SFM / MEMS / アクチュエータ / 表面観察 / 化学種同定 |
Research Abstract |
本研究では走査型プローブ顕微鏡で原子や分子を拾い上げ、電界蒸発で質量分析器に飛ばしてその化学種を分析する走査型化学プローブ顕微鏡(走査型電解蒸発型質量分析顕微鏡)を開発し、試料表面の化学的特性や化学種分布をアトムスケールでマッピングすることが目的である。本年度は、走査型電解蒸発型質量分析顕微鏡に必要なアクチュエータ集積化プローブの作製と作製のためのプロセス技術の最適化、作製したプローブの評価を行った。このような顕微鏡には表面を観察し分子を拾い分析器に電界蒸発によってターゲットを飛ばし同定する為にプローブを大きく反らし、放出する動作を繰り返せる、アクチュエータが必要であるため、大きな変位を出力できるジッパー形静電アクチュエータを集積化したプローブを半導体微細加工によって作製した。作製プロセスでは、穴あけ加工したガラスに貼り付けた50μm厚のSiウェハを深堀エッチングすることで設計どおりの構造を得た。集積化したアクチュエータはプローブ先端に最大340μmとターゲットの拾い上げに十分な変位を発生させることができた。採用したジッパー形アクチュエータを用いることでアクチュエータ駆動後には振動可能なプローブ長が短くなるために、プローブのバネ定数が上昇することを確認した。これによってアクチュエータに求められる柔らかいバネと、表面分析に求められる硬いバネを両立することが可能になった。必要な10N/mには満たなかったが、先端部のプローブを厚くすることでさらなるバネ硬化が期待できるのを数値計算から確認した。 作製したプローブを既存の走査型プローブ顕微鏡に組み込み、加工済みの試料の表面走査画像を取得できた。この時の分解能はプローブ先端の劣化もあったため1μm以下であったが先端を鋭くすることで分解能を向上することができる。
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