2010 Fiscal Year Annual Research Report
アクチュエータ集積化プローブを用いた走査化学プローブ顕微鏡の研究
Project/Area Number |
21760020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川合 祐輔 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20451536)
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Keywords | TOF-SFM / MEMS / アクチュエータ / 表面観察 / 化学種同定 |
Research Abstract |
本研究では走査型プローブ顕微鏡で原子や分子を拾い上げ、電界蒸発で質量分析器に飛ばしてその化学種を分析する走査型化学プローブ顕微鏡(走査型電解蒸発型質量分析顕微鏡)を開発し、試料表面の化学的特性や化学種分布をアトムスケールでマッピングすることが目的である。本年度は、昨年度の開発を行った走査型電解蒸発型質量分析顕微鏡のためのアクチュエータ集積化プローブの問題点である、形状に起因する加工誤差によるアクチュエータ特性の劣化および、能動的バネ定数向上機能の不足を改善するために、セルフアラインなプローブ組立技術の開発とこの技術を用いたアクチュエータ集積化プローブを作製した。クリップメカニズムと呼ばれる機構を半導体微細加工で作製し、別途作製したシリコン製カンチレバーと引き出し電極を組み付けることで均一な厚さで設計通りの振動特性を持つアクチュエータの作製に成功した。これにより、カンチレバーをアクチュエータ部分とは別に設計できるようになったため、表面走査に必要なバネ硬化機能も向上でき目標である10N/m以上のバネ定数を達成した。またデモンストレーションとして、作製したプローブを用いたナノメートルオーダーの誘電体パーティクルのマニピュレーションを試み、表面走査による画像化の後に引き抜きと再配置を行った。以上の成果により、半導体微細加工技術を用いたアクチュエータ集積化プローブによって走査型電解蒸発型質量分析顕微鏡への応用の可能性を示した。 併せて、熱の発生が少ないアクチュエーションの方式として圧電駆動について検討を行い、高い圧電定数が期待できるPZT薄膜を4inch径シリコンウェハ上に成膜するための成膜を試み。バルク材料と同程度の性能であるd_<31>が-150pm/Vを確認した。
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