2009 Fiscal Year Annual Research Report
捻り振り子をプローブとしたパラジウム合金ナノ薄膜中に特有な水素原子拡散機構の解明
Project/Area Number |
21760025
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 悠樹 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (60514271)
|
Keywords | 吸着 / 銀薄膜 / 水素 / 拡散 / 界面 / 透過 / シリコン基板 |
Research Abstract |
Ag薄膜をエピタキシャル成長させたSi(111)7×7基板を、室温で一定量の水素原子気体中に曝したのち、基板に吸着した水素吸着量の測定を昇温脱離法により行った。Agと水素の結合エネルギーは200K以下であるため、室温で曝露した水素けAg表面にトラップされる事はない。一方、Si-Hの脱離温度は800K程度であるため、800Kにおける水素脱離強度の測定から、Agナノ薄膜を透過しAg/Si界面にSi-Hとして吸着する水素原子の吸着量が求められる。ナノ薄膜中の水素透過を実験的に測定するのは非常に困難であるが、このことを利用することで金属ナノ薄膜における水素透過度を知る事が可能となる。 水素曝露量を固定した時の、Ag/Si境界面における水素吸着量は、Ag膜厚が~30ML以下では膜厚の増加に伴い、急激に減少するが、それ以上では膜厚にあまり依存しなかった。さらに、Ag膜厚を固定し水素曝露量を変化させる実験から、Ag/Si界面における飽和吸着量はSi表面のそれと同じである事か分かった。このことからAg膜圧の増加に伴う界面における水素吸着量の減少は、Ag膜中での拡散に支配されている可能性が考えられる。実験結果から拡散係数を見積もると、拡散係数は膜厚に依存し、膜厚の減少に伴い拡散係数が急激に小さくなることが分かった。この原因は今の段階では明らかではないか、一つの原因としてAg/Si界面近傍に存在する表面ストレスに起因した高密度の欠陥や転位により界面近傍で水素拡散が大きく抑制されている可能性が考えられる。
|