2010 Fiscal Year Annual Research Report
窒化ガリウム結晶を用いたフォトリフラクティブメモリーの研究
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21760035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤村 隆史 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (50361647)
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Keywords | フォトリフラクティブ効果 / 窒化ガリウム結晶 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ワイドバンドギャップ半導体結晶を用いて従来のフォトリフラクティブ材料では、両立することができなかった高い記録感度とメモリー性を併せ持つ新しいホログラム記録材料を開発することにある。本申請研究では特に、我々がこれまで行ってきたGaN結晶におけるフォトリフラクティブ効果の研究を発展させ、ホログラム記録特性の改善と共に、再生時にも消えない不揮発性ホログラムの記録を行うことを本研究の研究課題としている。 本年度は、2波長記録による不揮発性ホログラムの記録にむけた基礎実験を行った。2波長記録とは、ゲート光とよばれる第三の光によって結晶の「活性状態」と「不活性状態」をスイッチさせ、ホログラムの記録・再生・消去をコントロールする方法である。 本実験では、記録波長にHeNeレーザーの633nmの光を用い、ゲート光源にはキセノンランプを用いてバンドパス波長フィルターによって一部を切り出し、様々な中心波長をもったゲート光を作り出して2波長記録を試みた。その結果、ゲート光がより短波長になるにつれ比較的大きなゲート光誘起の回折格子の形成を確認することができた。また結晶を反転させて同様の測定を行い、回折格子の種類が主に吸収格子からなることを明らかにした。 一方、我々は、今回GaN結晶よりもさらに大きなバンドギャップを有するAlN結晶を入手することができた。このAlN結晶は、GaN結晶とは異なり無添加でも抵抗値が非常に高いことが知られており、我々が目標としているメモリー性と高速応答性を兼ね備えたホログラム記録材料としては最も理想的である。本研究ではこのAlN結晶におけるフォトリフラクティブ特性を波長405nmにおける二光波混合実験によって評価した。その結果、二光波混合ゲインはポンプ光強度I=6.9W/cm2においてΓn=0.47cm-1、格子形成時定数はI=1.0W/cm2においてτn=59msという値を得た。またその光強度依存性から、本研究で用いた試料では、浅い準位を含む複数のトラップ準位が格子形成に寄与していることが分かった。
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