2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760037
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
松井 龍之介 三重大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80452225)
|
Keywords | 光物性 / テラヘルツ材料・素子 / 導電性高分子 / 電荷移動錯体 / プラズモニクス / メタマテリアル |
Research Abstract |
従来の光学の常識をくつがえす光学材料・素子を実現する技術としてメタマテリアルに関する研究が国内外において近年活発に研究されている。本研究では従来のメタマテリアル研究とは一線を画した新たな試みとして、有機機能性材料を用いたメタマテリアルの創製について検討してきた。 ドナー型導電性高分子MEH-PPVとアクセプター型分子TNFの混合系において、近赤外域の吸収が著しく増大すること、また励起キャリアの寿命がpsオーダーへと著しく短くなるとの研究報告がなされており、その系でのテラヘルツ電磁波発生・検出素子への応用を検討してきた。テラヘルツ電磁波放射のためのマイクロストリップライン電極を施した素子を作製し、時間領域分光光学系によるテラヘルツ電磁波放射実験を試みたが、テラヘルツ波の放射の確認には至らなかった。光学顕微鏡下での観察からは高分子と低分子の相分離が見て取れ、薄膜の不均質性が放射の得られなかった一因であると考えられる。 一方、ドナー型分子DBTTFとアクセプター型分子TCNQによる電荷移動錯体結晶においても近赤外領域において吸収が見られることが報告されており、同様にテラヘルツ電磁波発生・検出素子への応用を検討してきた。DBTTF-TCNQ電荷移動錯体結晶については、フェムト秒モード同期チタンサファイアレーザーならびにフェムト秒ファイバーレーザーを励起光源とした光照射下における電流-電圧特性測定において、両励起条件下ともに印加電圧に比例した電流変調を確認しており、光伝導アンテナの光伝導部への応用の可能性を示唆する結果を得ることができた。
|