2009 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブにおける励起子微細構造の完全解明と制御
Project/Area Number |
21760038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
広理 英基 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特定研究員 (00512469)
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Keywords | テラヘリツ / カーボンナノチューブ / 非線形分光 / 遠赤外分光 / THz分光 / 高強度テラヘルツ / 光物性 / 低次元半導体 |
Research Abstract |
本研究では高強度テラヘルツパルス発生技術を駆使した新たな非線形分光技術の確立によって半導体ナノ構造体の非線形応答を観測し、特にカーボンナノチューブにおいてしばしば発光効率の低下の要因とされる非発光準位(ダーク励起子準位)について、従来の分光手法では得られない新たな知見を得ることを目指している。本年度は、このためのテラヘルツポンプー可視光プローブの実験系を構築し、多重量子井戸ZnSe/ZnMgSSeの可視光応答が高強度テラヘルツパルスの照射によってピコ秒(10^-12秒)の時間内に劇的に変化する様子を確認した。テラヘルツパルスのピーク電場振幅(68kV/cm)が照射されと、2.92eV以上でバッファー層(ZnMgSSe)のバンド端吸収が増加し、また井戸層ZnSe)の励起子吸収のピークが減少し線幅が広がる。励起子吸収線幅の増大およびピークシフトの電場強度依存性はシュタルク効果だけでは説明できず、非摂動論的な現象が誘起されている可能性が高い。二次元電子系に対すこれらの成果は、擬一次元系カーボンナノチューブ試料に対する実験結果と比較する上で大変重要な意義を持つ。これらの成果はPhysical Review B誌(Rapid Communications)に採録され、当ジャーナルの編集者の注目論文としても取り上げられた(Editor's Suggestion)。本測定法をさらに改良し、カーボンナノチューブに対する研究をさらに進めていく。
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Research Products
(12 results)