2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブにおける励起子微細構造の完全解明と制御
Project/Area Number |
21760038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣理 英基 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定助教 (00512469)
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Keywords | 応用光学・量子光工学 / 光源技術 / テラヘルツ/赤外材料・素子 / ナノ材料 / 光物性 |
Research Abstract |
本研究では高強度テラヘルツパルス発生技術を駆使した新たな非線形分光技術の確立によって半導体ナノ構造体の非線形応答を観測し、特にカーボンナノチューブにおいてしばしば発光効率の低下の要因とされる非発光準位(ダーク励起子準位)について、従来の分光手法では得られない新たな知見を得ることを目指している。初年度に行った研究結果から、本研究を実現するためには、これまでの0.1MV/cm程度の電場振幅を持つテラヘルツ光では不十分であることがわかった。そこで本年度はテラヘルツ光発生/検出光学系を改良し、中心周波数1THz帯で1MV/cm以上の電場強度の発生を目指し、世界で初めてこれに成功した。発生においては、LiNbO_3結晶内において入射する近赤外光パルス面とこれを傾けるための回折格子のイメージ面の角度を一致させ、これにより高効率で、かつ大口径のテラヘルツの発生に成功した。また検出系においては、LiNbO3結晶から放射したテラヘルツ光を、放物面鏡による縮小光学系を構築し、回折限界まで小さく絞られたスポット(半値全幅300μm@1THz)を実現した。これらのテラヘルツ光発生/検出光学系の改良により、テラヘルツ光の最大電場振幅は約1.2MV/cmに到達した。この結果は、これまでに同様の手法で報告されている電場振幅に比べて約5倍の増大であり、本成果はApplied physics letters誌に掲載された。これは本計画の推進を加速させるための重要な進歩である。
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