2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡 寿樹 Osaka University, 工学研究科, 特任助教 (00508806)
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Keywords | 量子相関光子 / 量子もつれ合い / 量子状態制御 / 共振器QED |
Research Abstract |
本研究の目的は,「相関制御された量子もつれ光子」の効率的生成法を確立し,励起光源として応用することで,従来のレーザー光では実現できない巨大非線形光学応答や効率的な物質量子状態制御(特に光化学反応系)の構築を理論の立場から確立することである.当該年度ではまず,量子もつれ光子を駆動光とした量子状態ダイナミクスを解析するための解析法を構築した.これにより,従来のMaxwell方程式を用いた解析法では取り扱えない光の量子性と物質の量子性の相互作用の解析が可能となり,物質量子状態と量子もつれ光子の状態変化をリアルタイムで追うことができる.さらにこの解析法を用いて,光化学反応系への第一ステップとして,原子系に対する2光子励起にターゲットを絞り,量子もつれ光子による2光子励起効率の増強を解析した.具体的なモデル系として,3準位原子と相互作用する1次元光子場を考え,量子もつれ光子と従来のレーザー光の2光子パルスの2入力に対する励起効率を比較した.この解析から,量子もつれ光子の量子状態は2つのパルス幅で特徴付けることができ,これらのパルス幅をそれぞれ制御することで,レーザー光の100倍以上の励起効率増強が可能であることを明らかにした.この成果は,次年度の量子もつれ光子の効率的生成法のための物質デザインの大きな指標となる結果であり、また低強度の量子もつれ光子でも効率的な2光子励起が期待できることを示唆する重要な結果である.
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Research Products
(3 results)