2010 Fiscal Year Annual Research Report
プラズモン共鳴を利用した低電圧駆動光制御並列電界放出電子源の研究
Project/Area Number |
21760048
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岩見 健太郎 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 助教 (80514710)
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Keywords | プラズモン / 電子ビーム / 電子線リソグラフィ / MEMS / 電子デバイス・機器 / 応用物理学一般 / 電界放出 / 電場増強 |
Research Abstract |
金属粒子や先鋭化した金属探針の突端に光を照射すると、局所プラズモンが励起されることが知られている。本研究では、局所プラズモン共鳴の持つ電場増強効果を電子線電界放出に応用することで、新たな高性能電子源を開発することを目的とした。22年度は、プラズモン共鳴による電子源の放出原理の解明および電子源アレイへの応用に取り組んだ。 放出原理では、金蒸着したタングステンナノ探針先端に波長442、532,633nmの3波長の光を照射した際の電界電子放出応答について調べた。その結果、532nm照射時に電子線放出が最も増強されることが分かった。この波長は有限差分時間領域法(FDTD法)電磁場解析によって得られたプラズモン共鳴波長に相当している。これらの結果から、プラズモン共鳴による増強は442nmの高エネルギをもつフォトンによる励起よりも大きな増強を示すことが明らかとなった。また、偏光方向に応じて電流増強度が周期的に変化することを明らかにし、電場方向が探針長手方向に垂直な場合に増強度が最大となった。これらの結果は、プラズモン共鳴によって、電子の効率的な単光子吸収励起と熱励起の両方が起こっていることを示している。この方法を用いて、最大217倍の電流増倍を達成した。 電子源アレイの製作では、溶融石英基板の等方性エッチングを用いて形成した先端曲率50nmのナノ突起上に金薄膜を蒸着して、27.36μmピッチで103×103個の電子源アレイを製作した。この電子源を用いて、超高真空環境下における電子線放出を達成した。
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