2011 Fiscal Year Annual Research Report
電界効果トランジスタ型水素ガスセンサの高性能化・高機能化
Project/Area Number |
21760052
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中村 成志 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70336519)
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Keywords | 水素 / 先端機能デバイス / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
今年度は,マルチガスセンサ化に必要なガス選択性についての研究を行った.水素ガスセンサでは,炭化水素などの水素を含むガスを誤検知しやすい.これはガスの分解によって水素が切り離されるためである.そこで,選択性の評価には,水素,メタン,プロパンの三種類のガスを用いた.今回の評価に用いた直鎖式炭化水素は,炭素の次数が大きくなるにつれて分解されやすい特徴を持っていることから,それぞれのガスによって分解温度が異なる.そこで,デバイス温度を掃引することで検知ピーク温度を読み取り,検知ガスを同定する方式を採用した.電界効果トランジスタ型センサで温度掃引が可能となったのは,提案デバイスがワイドギャップ半導体をベースにしているからである.昨年度までに作製したガス検知特性評価試験システムを改良し,短時間に室温から400℃までの温度掃引を可能にした.デバイスとしては,Pd/AIGaN/GaN構造を有する高電子移動度トランジスタ型水素ガスセンサを用いた. その結果,本提案デバイスでの水素ガス検知ピーク温度は200℃,プロパンは300℃,メタンは400℃以上であることが分かった.このピーク温度はガスの濃度には依存しないことも示すことができた.このことから,今回の三種類のガスについては,温度掃引式の検知方法により,確かなガス選択性の機能を付与できることが分かり,ガス種の識別および定量的な検知が可能なマルチガスセンサの実現に貢献できたと言える.残された課題としては,温度・湿度センサおよびヒーターとの一体化があげられる.
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Research Products
(2 results)