2009 Fiscal Year Annual Research Report
圧電性多孔質シートを用いた次世代ペーパーにおける筆跡-電気信号変換技術の確立
Project/Area Number |
21760053
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Research Institution | Kobayasi Institute of Physical Research |
Principal Investigator |
児玉 秀和 Kobayasi Institute of Physical Research, 圧電応用研究室, 研究員 (60373198)
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Keywords | 電性 / 多孔質ポリマーシート / エレクトレット / 筆跡 / 信号変換 / 圧電率 / 共振周波数 / 時間応答 |
Research Abstract |
本研究では多孔質ポリマーエレクトレットの圧電性による筆跡の電子データ化手法を確立することを目的とする.本年度は多孔質ポリマーエレクトレットの圧電応答により筆跡を電気信号に変換するための検討として,圧電性向上のための材料開発とその材料による筆圧の電気信号変換について研究を行った.ここではポリマーシートに孔を形成するプロセス,多孔質シートへの電極蒸着手法ならびにコロナ放電の手法を最適化した.その結果,圧電率200~300pC/Nを安定かつ再現よく示すサンプルを開発した.従来,多孔質ポリマーエレクトレットは圧電率のコントロールが難しく,時間減衰が速いことが実用化への課題であった.本研究では,圧電率を安定化させることに成功したため,圧電率の不安定性と分子運動を関連づける研究を行うことが可能となり,圧電率減衰の原因が主に結晶の分子運動と関連することが見いだされた.筆圧を電気信号に変換する実験では,筆圧により発生する電荷量はボールペンなど接触面積約5x10^<-7>m^2で筆圧を与えた場合,およそ100pCが発生し,サインペンや指など接触面積を増やすほど増加した.また繰り返し筆圧を与えた場合,再現よく電荷が発生する様子が観察された.時間応答については,厚み方向の共振周波数は250kHz付近で筆跡に対する機械応答は十分に速く,電気応答は主に接続するプリアンプの時定数によることが分かった.本研究成果の一部を2009IEEE Ultrasonics Symposiumで研究発表,および特許出願を行った.
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