2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
垣村 尚徳 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助教 (30508180)
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Keywords | 組合せ最適化 / 組合せ的行列理論 / 数理計画 / マッチング / 半正定値対称行列 |
Research Abstract |
本研究課題では,数理計画に対する構造解析手法の確立と発展を目的として,主に,1,Polyaの問題の一般化,2,疎性を持つ半正定値対称行列に対する分解,という二つの成果を得た.1,Polyaの問題とは,非負正方行列が与えられたときにその非ゼロ要素に正負の符号をうまく割り当てることで符号正則にできるかを判定する問題である.この問題は線形方程式の符号可解性判定と等価であり組合せ的行列理論において重要な問題である.また,グラフのマッチング理論とも関わりが深い.本研究課題ではPolyaの問題を長方行列へ一般化した問題を提案した.符号正則行列の長方行列への一般化として完全符号正則行列と呼ばれる行列が知られており,数理計画問題が符号可解性であるための十分条件として重要な役割を占める.本研究では,長方行列を符号付けして完全符号正則にできるかを判定する問題を提案し,その多項式可解性を示すとともに,禁止マイナーによる特徴付けを与えた.2,コーダル構造という疎性を有する半正定値対称行列は,行列補完を始め様々な応用を持つ.先行研究においてコーダル構造を持つ半正定値対称行列が極大クリークに対応する半正定値行列の和に分解できることを示されており,この結果は半正定値計画問題の計算効率化に近年利用されている.本研究では,この分解定理に対して線形代数を用いた直接的な証明を与えた.
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