2009 Fiscal Year Annual Research Report
実形状頭部透過モデルを用いた回転衝撃を受ける脳外傷発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
21760071
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮崎 祐介 Kanazawa University, 機械工学系, 助教 (70432135)
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Keywords | 生体力学 / 傷害予防 |
Research Abstract |
交通事故,転倒など各種事故において脳外傷の発生メカニズムを解明し,それに基づく設計基準を制定することが,安全・安心な社会を構築する上で重要である.致命的な脳損傷は頭部が打撃を受け回転運動した際に,複雑な形状を有する脳が,大脳鎌のような頭蓋内構造物に拘束され生じるひずみ集中により生じると考えられる. そこで本研究では脳深部まで視認可能で,かつ,実脳形状を忠実に再現した透明な脳部と,その変形挙動を外部から計測可能とする透明な頭蓋骨部で構成される頭部の物理モデルを,CT・MR画像より画像処理および精密加工技術を利用して構築する.さらに,ハイスピードカメラにより計測される脳断面のランダムパターンをデジタル画像相関法により処理し,脳深部のひずみ分布を可視化することを目的とした. 研究開始初年度である本年度はまず,既に所有している頭部CTおよびMR画像より構築した三次元CADモデルを利用して,頭部の物理モデルを構築した.頭蓋骨部は,アクリル注型により透明度の高いモデルを構築した.脳に関しては,脳溝等の複雑形状を有する3次元CADモデルを構築し,透明シリコンゲルと黒色シリコンゲルの複層構造とすることにより,脳深部任意断面の可視化を可能とした.これにより本モデルは(1)透明度の高い実頭蓋内形状および脳形状を有し,(2)脳の回転運動を拘束する頭蓋内の膜類(大脳鎌,小脳テント)(3)頭蓋と脳の間隙をみたす脳脊髄液を有しており,脳外傷に関わる主要な解剖学的構造を有している.また,デジタル画像相関法によるひずみ分布計測システムを開発し,既構築の2次元物理モデルの脳表面のせん断ひずみ計測に適用し,その有効性を検証した.
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Research Products
(4 results)