2010 Fiscal Year Annual Research Report
負の剛性相を含有する次世代ナノコンポジットの変形モデリング
Project/Area Number |
21760077
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
君塚 肇 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (60467511)
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Keywords | ポリマー / フィラー / ナノコンポジット / 拡散 / 経路積分法 / 分子動力学法 / フェーズフィールド法 |
Research Abstract |
ポリマー中にナノ粒子を分散させたナノコンポジットの開発には、要求された機械的特性・熱的特性を満足するためにフィラー種の機械的特性を積極的に制御し、複合化による強化機構を定量的に制御することが求められる。本研究は、様々な機械的特性を持つフィラー種を対象とするナノコンポジットについてマルチスケール手法に基づくモデリングの枠組みを構築する。本年度は以下の成果が得られた。1.ナノ粒子とポリマーマトリックスの界面の機械的特性を原子・分子レベルで解析するための原子間相互作用モデルを採用し、ナノカーボンと炭化水素の複合体に関する力学特性を解析した。その結果、ナノ粒子界面の種々の温度・圧力条件における結合特性の変化を定量的に捉えた。またこれらの解析に関して、自己誘導分子動力学法等の加速法による高速化を図った。2.種々の母相中の異種原子・粒子の拡散挙動のモデリング手法を構築した。特に軽量元素の運動や長時間スケールの拡散過程が支配的となる系に対して、拡散定数および活性化エネルギー等を原子レベルで定量的に評価する手法を構築した。3.高応力下におけるフィラー材料の変形特性の解析のために、炭素結晶を対象として、第一原理密度汎関数法計算に基づく非線形弾性構成式の構築を行った。その結果、低い計算負荷で第一原理計算と同程度の精度の応力-ひずみ応答が記述できる数値的枠組みを構築した。4.メゾスケールにおけるフェーズフィールド法、動的密度汎関数法等を用いて、母相中に不純物が分散された複合系における相形成挙動を解析した。具体的には、添加物の化学的性質、分量等の影響による高分子複合系の秩序構造の遷移条件を明確にした。
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