2009 Fiscal Year Annual Research Report
高分子系高強度繊維の繊維方向直接圧縮試験方法の確立
Project/Area Number |
21760083
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
堀川 教世 Toyama Prefectural University, 工学部, 准教授 (10363871)
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Keywords | 蛍繊維 / 圧縮強度 / マイクロ材料力学 / フォトリソグラフィ技術 |
Research Abstract |
本研究の目的は高分子系高強度繊維の繊維方向直接圧縮試験方法を確立することにある。繊維の圧縮強度を求める方法は、繊維を環状に曲げて行うループ試験法や繊維を埋め込んだ樹脂を曲げる樹脂埋め込み試験方法があるが、これらの方法では圧縮弾性率と引張弾性率が等しいと仮定している点や、後者では樹脂と繊維の接着性の影響や樹脂により表面欠陥が緩和されている可能性もあり得られる強度値は信頼性に欠けたものとなっている。信頼性のある強度値を得るためには繊維方向に直接圧縮負荷を行う方法が有効であるが、繊維は非常に細いため試験片作製が非常に難しいという問題がある。 本研究では微細加工技術の一つである紫外線によるフォトグラフィ技術を用いてこの問題の解決を図り、高分子系高強度繊維の繊維方向直接圧縮試験方法の確立を行った。その結果、試験片作製においては、フォトリソグラフィ技術を用いることで直径10μmの繊維を精度よく固定できることを明らかにした。繊維の圧縮試験においては、有限要素解析により圧縮中の繊維内部の応力分布を調査し、圧縮試験に有効な繊維長や樹脂による固定の影響を調べた。その結果、圧縮試験に有効な繊維の長さは20μm以上であり、圧縮試験では破壊点の位置の特定が重要であること明らかにした。この解析結果を踏まえて、実際の圧縮試験では、試験機に2台のカメラを取り付け、その場観察を圧縮試験に取り入れることを提案した。これにより、圧縮試験では、圧縮荷重と圧縮変位の関係が非線形になるところで繊維に圧縮損傷(キンクバンド)が生じることを見出すとともに、圧縮強度の評価においては、圧縮荷重の最大値では過大評価となること、さらに樹脂近傍に生じたキンクバンドは強度値に影響を及ぼすため除外する必要があることを明らかにした。
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