2010 Fiscal Year Annual Research Report
原子論ー連続体ハイブリッドシミュレーションによる析出強化機構理論の新展開
Project/Area Number |
21760084
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高橋 昭如 東京理科大学, 理工学部, 講師 (00366444)
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Keywords | 析出強化 / 転位 / 転位動力学 |
Research Abstract |
1.積層欠陥強化機構の計算機シミュレーション 原子計算を用いて母材と析出物の一般化積層欠陥エネルギを計算し,それを入力情報として用いた原子論-連続体ハイブリッドシミュレーションにより転位と析出物の相互作用を調べた.その結果,古典的な理論の結果と同様の結果となり,古典的な理論の妥当性を計算機シミュレーションによって検証することができた.さらに,相互作用における転位線形状の影響調べた結果,その影響は無視できる程小さいことが明らかになった. 2.整合強化機構の計算機シミュレーション 析出物に整合ひずみを与え,広い転位芯幅を有する超転位との相互作用を原子論-連続体ハイブリッドシミュレーションによって調べた.その結果を古典的な理論と比較した結果,大きく異なる結果となった.そこで,転位芯の幅の影響を取り入れた新しい理論式を構築し,計算結果と比較した結果定量的に一致する結果を得た.すなわち転位芯の影響を考慮した新しい理論式の構築に成功した. 3.剛性率強化機構の計算機シミュレーション 弾性定数が母材のものと異なる析出物と転位の相互作用を原子論-連続体ハイブリッドシミュレーションによって調べた.他の強化機構の影響に比べ剛性率強化機構の影響は非常に小さく,現実的な弾性定数の違いにおいては考慮する必要性が低いことが分かった. 4.新しい析出強化機構の構築 積層欠陥強化,整合強化,剛性率強化が同時に作用し複合的な強化機構について原子論-連続体ハイブリッドシミュレーションを行ったところ,古典的な方法による各強化機構の影響の複合では,その強化の程度を評価することができないことが分かった.そこで,転位の移動過程における各強化機構の影響の変化を調べ,転位の各位置で総和をとり,その最大値で評価を行ったところ,計算結果と良く一致する結果となった.すなわち,複合的な強化機構を評価する新しい方法を提案した.
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