2009 Fiscal Year Annual Research Report
EBSD法による3次元ナノ空間ひずみ場スキャニング技術の開発と歪シリコンへの応用
Project/Area Number |
21760086
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
來海 博央 Meijo University, 理工学部, 准教授 (30324453)
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Keywords | EBSD法 / ひずみ測定 / ナノ空間分解能 / シリコン / 菊池パターン / ニッケル / SEM・EBSDその場観察 / 塑性変形 |
Research Abstract |
本年度得られた実績の主な内容を以下に示す. 【1】EBSD法を用いたナノレベル微小領域のひずみ測定用SEM内引張試験機の設計 本研究では,ひずみ測定をEBSD法で行うため,その測定感度等を実験的に検証する必要がある.そこで,高真空用SEM内引張試験機の設計を行った.計画当初は,変位量のあまり出ない真空用圧電素子をアクチュエータに使用する予定であったが,弾塑性変形過程に於ける高ひずみの評価に対応できないため,ある程度の変位出力が可能な高真空用モーターにより負荷を与えることとした.SEM内外の信号の受け渡しは,特注のフランジを設計・製作した. 【2】ナノ空間分解能での2次元ひずみマッピング測定 EBSD法を用いたひずみ評価の一つとして,EBSD法により測定される結晶方位(OIM)パラメーターの変化から塑性ひずみの評価の可能性について検討した.対象は多結晶のニッケル試験片とし,熱処理を施すことで結晶粒を粗大化し,結晶粒内のひずみ変化を捉えやすくした.またひずみの導入には,単純引張試験で行った.0.2%耐力(初期降伏)まではSEM画像及びOIMデータでひずみの変化を捉えることが出来なかったため,現在検討している菊池パターンの変化によるひずみ評価が有効であると考えられる.一方塑性ひずみが大きくなる引張強さ付近ならびに破断前後では,SEM画像にすべりが観察され,IQ mapと対応することが分かった.塑性ひずみの増加に伴いGOSとGAMに変化が現れ,中でもKAMは粒界近傍に大きな変化がみられた.よって,大きいひずみ量に対しては,菊池パターンから直接ではなく,結晶方位パラメーターによりひずみを評価できる可能性を示した.
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