Research Abstract |
自動車車体用アルミニウム合金板材A6022を対象に,高成形性材料創製のための圧延プロセスメタラジー手法を開発した.結晶均質化法に基づく熱-弾/結晶粘塑性マルチスケール有限要素解析コードを開発し,板材の板厚方向に強せん断変形を導入する異周速圧延解析を実施した.圧延温度を室温および250℃で比較した結果,250℃において圧延後の板材全面にわたり微視結晶集合組織として{111}//ND方位を集積でき,ランクフォード値(r値)の高い板材が創製できることを確認した.さらに,異周速圧延の上下ロール周速比,板厚減少率の2つを設計変数とし,圧延後の{111}//ND方位集積率を目的関数とした応答曲面法に基づく離散最適化を行った.その結果,最適圧延パラメータとして異周速比2.2,板厚減少率58.0%を得た 実際の板材創製を想定し,1段目:せん断変形導入のための異周速圧延,2段目:仕上げ圧延のための板厚減少率50%の等周速圧延の多段圧延を模擬し,1段目の異周速圧延によるせん断変形集合組織導入度合いを設計変数とし,2段圧延後の板材のr値を目的関数とする最適化を行った.ここでは,板面内の平均r値を最大,かつr値の面内異方性を最小とする多目的最適化を実施した.その結果,異周速圧延によるせん断集合組織導入量の最適値を見いだした.さらに,最適圧延パラメータによって得られた2段圧延後の結晶集合組織を用いて球頭深絞り問題のマルチスケール解析を実施した結果,従来のA6022-T4等周速板材と比較して,板厚ひずみ集中の局在化が発生せず,塑性異方性による「耳」が発生しないことを確認し,本最適化手法の有効性を確認した.
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