2010 Fiscal Year Annual Research Report
短パルスレーザを用いた絶縁基板内部へのレーザアシスト3次元微細配線技術の開発
Project/Area Number |
21760095
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
山崎 和彦 茨城大学, 工学部, 講師 (30436240)
|
Keywords | ナノ・マイクロ加工 / レーザ焼結 |
Research Abstract |
本研究では、短パルスレーザによる高分子基板内部の3次元微細加工技術と、金属ナノ粒子ペーストの充填およびレーザ焼結技術を組み合わせた、全く新しいレーザアシスト3次元微細配線技術を提案し、その実現性を明らかにすることを目的とする。 研究項目(1)で選定したポリイミド基板(ベスペルTP-8000)に、短パルスレーザ(波長1064nm、パルス幅~60ps)を照射し、項目(2)である微細加工特性の把握を進めた。エネルギー約13μJのパルスレーザ光を、倍率50倍の対物レンズ(開口数0.65)を用い、ステージを走査しながら集光照射したところ、基板表面に直径約96μm、深さ約100μmの穴が、また基板内部には数~20μmの無数の微小空洞からなる幅約20~30μm、長さ約250~270μmの改質領域の形成が確認された。この領域には活性化した炭素分子が存在すると推測され、ジクロロメタンを用いて微量ながらこの改質領域の選択的除去に成功した。3次元加工を施した基板に対し、減圧法による項目(3)金属ナノペースト充填方法の確立を試みた結果、基板表面の穴へのペースト導入は観察されたものの、改質部位に存在する微小空洞は不連続であったため導入が確認できなかった。 一方、項目(4)レーザ焼結法の最適化及び評価において、レーザの波長は近赤外領域よりもペーストに直接吸収される可視域の波長が有効であることを示し、また無酸素濃度環境下でのレーザ焼結にも成功し、マイクロチャンネル内の低酸素環境下でのレーザ焼結の可能性を示唆した。 以上の結果から、提案するレーザアシスト3次元微細配線技術の確立に向け、熱的/化学的に安定なポリイミド基板内部の3次元微細加工に成功したものの、連続的なマイクロチャンネルの加工には至らず、レーザ波長と基板の吸収波長とのマッチング、加工サイズの縮小、レーザ焼結膜の評価、などの課題を示した。
|