2009 Fiscal Year Annual Research Report
導電性射出成形品の電気的特性制御を目的とした銅メッキ繊維の配向制御手法の確立
Project/Area Number |
21760103
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀬戸 雅宏 Kanazawa Institute of Technology, ものづくり研究所, 特別研究員 (90367459)
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Keywords | 射出成形 / 導電性フィラー / 導電性プラスチック / 樹脂流動 / せん断応力 / 配向 / 可視化観察 / めっき繊維 |
Research Abstract |
導電性フィラーを含有した導電性プラスチック材料は,静電気の静電気拡散や電磁波シールドなどの機能性材料として注目されている.特に電気自動車やハイブリッド自動車では,駆動モーターなどから発生する電磁波から自動車の制御系や人体を保護するため,これらの機能性材料が重要となっている.導電性材料に使用される導電性フィラーは,金属繊維,炭素繊維などがあるが,本研究では,これらの繊維と比較して密度が小さいなどの特徴を有するアラミド繊維に銅メッキを施したメッキ繊維に着目し,メッキ繊維を含有した射出成形品の電気的特性評価とその制御方法について検討した. まず,ステンレス繊維,炭素繊維,メッキ繊維を含有したプラスチック材料を用いて射出成形法で試験片を成形し,その体積抵抗率を比較した.その結果,体積抵抗率0.3Ω・cmを発現させるために必要な繊維含有率は,炭素繊維19wt%,ステンレス繊維9wt%,メッキ繊維4.8wt%であることが明らかとなり,メッキ繊維の優位性が確認できた.また,成形時の樹脂温度条件や射出速度条件によって体積抵抗率が変化することがわかった.そのメカニズムを検討するため,可視化金型を用いて樹脂流動時のメッキ繊維の配向挙動観察を試みた.しかし,メッキ繊維によって樹脂の透明性が失われ可視化観察が困難であった.そこで,射出成形CAEを使用して樹脂流動によって発生する成形品板厚方向のせん断ひずみエネルギーを計算した.その結果,せん断ひずみエネルギーと体積抵抗率には相関が見られた. 以上のことから,メッキ繊維を導電性フィラーとして用いることにより,導電性プラスチックのさらなる軽量化が期待できるとともに,成形条件によって電気的特性の制御が可能であることがわかった.しかし,樹脂流動時におけるメッキ繊維の配向挙動観察については課題となっており,今後樹脂の選定および繊維含有量を検討し取り組んでいく.
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