Research Abstract |
機械部品や日用製品の表面には,様々な凹凸パターンが形成されているものが数多く存在しており,表面凹凸の配列や大きさによって様々な機械的特性が付与されている.特にインペラやタービンブレードのような複雑な曲面の切削には,ボールエンドミルによる同時多軸制御加工が行なわれている.本研究では,ボールエンドミル加工によって表面に形成される凹凸を対象とし,同時多軸制御加工によって形成される表面凹凸の配列を制御する手法の確立を目的としている.本年度は,平面加工時における凹凸パターンを幾何学的に解析するために,切削痕を球面で近似する手法を提案し,切削実験とシミュレーションによる解析を行なった.その結果,切削痕の送り方向の幅は,偏心量,工具傾斜角度の正弦成分に比例して増加することを示した.また,工具刃先の曲率半径を変えずに工具1回転あたりの送り量を小さくすると,偏心量が小さい値で切削痕の幅は一定値に到達する,つまり,工具刃先の曲率半径が同じ場合,工具1回転あたりの送り量を小さくすると,切削痕の幅は偏心量の影響を受けにくくなることを示した.また,これまでの研究で提案してきたパッチ分割切削法を曲面加工に拡張し,任意形状・寸法の三角形パッチ内部にカッタマーク列を整列する手法を考案した。実験の結果,隣接する工具経路間の位相差を一定とすることで,曲面を平面の三角形パッチ群で近似した際の任意形状の各パッチ内部に,整列したカッタマーク列を形成することができることを明らかにした。今後は,直進軸のみと直進2軸+旋回1軸の組合せによる同時3軸制御加工,直進3軸と旋回1軸による同時4軸制御加工などの同時多軸制御加工を行ない,表面凹凸の配列変化を確認する.また,同時多軸制御加工では,各軸の送り速度と工具傾斜角度が変化しながら表面凹凸が創成されるため,2つの因子の変化と表面凹凸の配列の関係について検証する.
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