2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760111
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 伸太郎 Nagoya University, 工学研究科, 講師 (50377826)
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Keywords | レオロジー / トライボロジー |
Research Abstract |
光ファイバープローブを用いた高感度なせん断力測定(Fiber wobbling method : FWM)において,0.1~0.2nmの精度で摺動隙間の調整を実現し,単分子潤滑膜の接触摺動における力学特性の測定を可能とした.高精度な摺動隙間の同定には,隙間の原点となる固体接触点の高感度検出が必須である.本研究では,固体接触時に摺動プローブに励起される固有振動の検出を利用した新規な方法を考案し,実験的に0.1~0.2nmの隙間変化について固体接触の検出を可能とした.また,摺動子となる光ファイバープローブの摺動方向と,固体基板の面内方向との平行度を高精度に調整する方法を考案し,実験的に±0.85mradの精度で平行度調整を可能とした.これはプローブ振幅100nm以下において,平行度のずれによる摺動隙間の変動を0.1nm以下に設定可能であることを意味している. 本研究で新規に考案したこれらの方法により,FWMを用いて基板上に塗布した極性潤滑剤(Zdol4000)と無極性潤滑剤(Z03)の単分子潤滑膜(厚さ2nm)について摺動実験を行い,その粘弾性特性を測定した.測定の結果,無極性で固体基板への吸着性の低いZ03は,液体的な力学応答を示したのに対して,極性をもち固体基板への吸着性の高いZdol4000はより固体的な性質を示すことを明らかにした.また,吸着性の低いZ03においては,膜厚の2倍程度に相当する約4.5nmの摺動隙間において,プローブと基板との間に液架橋が形成される可能性が示唆された.上述の力学特性測定と同時に液体分子の秩序構造のその場観察を実現するために,試料の複屈折を高精度に測定する光学系を構築した.
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Research Products
(9 results)