2009 Fiscal Year Annual Research Report
銅モリブデン複合酸化物を用いた高温固体潤滑に関する研究
Project/Area Number |
21760112
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
竹市 嘉紀 Toyohashi University of Technology, 工学部, 准教授 (40293758)
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Keywords | トライボロジー / 摩耗 / 摩擦 / 高温 / 複合酸化物 / 銅モリブデン / しゅう動 / 耐摩耗 |
Research Abstract |
高温環境下で用いられる摩擦部材への応用を目的とし,銅モリブデン複合酸化物によるトライボロジー特性の向上(摩擦抵抗・摩耗量の低減)を図る研究を行った.予備試験において,アルミニウム青銅とステンレス合金鋼との摩擦界面に三酸化モリブデンを供給し,高温下で摩擦したときに銅モリブデン複合酸化物が形成されたが,本年度はこの物質の同定と潤滑特性を調べることを中心に行った.この複合酸化物をX線回折により同定した結果,Cu3Mo209であると考えられた.しかしその形成量はごく微量であり,また摩擦界面からこの成分だけを収集することは困難である.そこで試行の結果,同量の酸化銅と三酸化モリブデンの混合粉末を大気圧で加熱することでCu3Mo209と同定される銅モリブデン複合酸化物を得ることができた.この複合酸化物をステンレス合金鋼同士の摩擦界面に供給し,室温から700℃までの温度域での摩擦試験を行った.一般的に酸化物の金属への付着力は弱いため,表面を軽度にブラスト処理することで適度な凹凸を形成し,蒸留水中に酸化物粉末を攪拌させたものを試験片表面に堆積させる手法を用いた.将来的には付着力の高いコーティング方法を検討する必要がある.高温での良好な潤滑特性が報告されている三酸化モリブデン粉末を比較対象として用い,複合酸化物のトライボロジー特性を評価した結果,室温から400℃の温度範囲では三酸化モリブデンと複合酸化物のしゅう動特性に大差はないが,特に500から700℃にかけて,複合酸化物は温度の上昇とともに摩擦係数が下がり,かつ,優れた摩耗低減効果を示した.
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