2010 Fiscal Year Annual Research Report
銅モリブデン複合酸化物を用いた高温固体潤滑に関する研究
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21760112
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
竹市 嘉紀 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40293758)
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Keywords | トライボロジー / 摩耗 / 摩擦 / 高温 / 複合酸化物 / 銅モリブデン / しゅう動 / 耐摩耗 |
Research Abstract |
酸化銅粉末と三酸化モリブデン粉末の混合粉末を大気中加熱することにより得られる銅モリブデン複合酸化物(Cu_3Mo_2O_9)粉末をステンレス鋼同士の摩擦の潤滑剤として用いると,500℃以上の高温雰囲気において良好な潤滑性を示すとともに摩擦材の摩耗量低減に顕著な効果を発揮する.合成前の原料である単金属酸化物の酸化銅あるいは三酸化モリブデン単体(粉末状)を潤滑剤として用いた同条件の摩擦試験結果より,高温における良好な潤滑性は銅モリブデン複合酸化物固有の効果であることが分かった.本実験で用いる金属酸化物粉末は金属への付着性が乏しい材料であり,特に400℃以下の温度域ではリングオンディスク式の摩擦試験初期において潤滑剤粉末が摩擦界面外に容易に排出されてしまうため,潤滑効果が得られない.試験後の摩擦痕のSEM/EPMA観察分析の結果,単金属酸化物粉末では500℃以上の雰囲気においても同様に容易に摩擦界面外に排出されてしまい,これに対し,銅モリブデン複合酸化物粉末の場合は摩擦界面での潤滑剤の残存率が高いことが分かった.高温雰囲気下で摩擦材であるステンレス合金への付着性が高くなっていると思われることから,銅モリブデン複合酸化物粉末をステンレス合金上で700℃で加熱したところ,銅モリブデン複合酸化物の成分が分解し,ステンレス合金が加熱されることで表面に偏析する酸化クロムと銅との反応が起きていることが分かった.この反応が銅モリブデン複合酸化物粉末の高温雰囲気での付着性向上に寄与していると考えられた.
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