2009 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場・極低温環境下用回転型マイクロ圧電アクチュエータに関する研究
Project/Area Number |
21760114
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
神田 岳文 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (30346449)
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Keywords | アクチュエータ / 圧電体 / 超音波モータ / マイクロモータ / 強磁場 / 極低温 / 振動子 |
Research Abstract |
本研究は、試料分析に用いられるNMRなどの極低温、強磁場環境下で高速回転を実現するマイクロ圧電アクチュエータを実現するために、アクチュエータを構成する材料、アクチュエータの構造、駆動(制御)方法について検討をし、試作、評価を行って設計、製作、駆動技術を確立することを目標とする。 初年度は、低温環境での圧電振動子の駆動の実現と、アクチュエータの設計、強磁場環境での駆動を課題とした。低温環境では、アクチュエータの駆動源となる圧電材料の性能低下が予想される。室温から50[K]程度まで環境温度を低下させた場合、圧電素子の性能を示す圧電定数は低下することが従来研究により明らかにされている。今回、圧電材料であるPZT(チタン酸鉛ジルコン酸鉛重合体)およびSTO(チタン酸ストロンチウム)からなる振動子を、4.8から4.9[K]の環境で駆動した。液体ヘリウムを使用するクライオスタット中で、振動子のアドミッタンスの変化を測定したところ、PZTの圧電定数は室温の10%程度であり、共振状態を利用すれば十分利用可能な領域と考えられる。一方、STOについては共振駆動を確認することが出来なかった。 圧電アクチュエータとして、強磁場環境で用いる超音波モータの設計と評価を行った。モータは、パイブ状の振動子を用いた円筒型と、扇形の振動子を面内に配置した薄型の2種類である。 円筒型モータでは、7[T]の強磁場下で、駆動周波数34.6[kHz]、電圧280[Vp-p]印加時に回転数3700[rpm]であった。一方、薄型のモータでは、7[T]の強磁場下で360[kHz]、21[Vp-p]印加時に、回転数760[rpm]であった。また、これらの特性は、磁場による影響をほとんど受けていないことが確認された。 薄型モータではより低い駆動電圧での駆動が実現されているものの、最大回転数は低く、固体NMR試料回転には十分ではなかった。ただし、H-NMR信号測定には十分であり、測定信号を得ることが出来た。
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