2010 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場・極低温環境下用回転型マイクロ圧電アクチュエータに関する研究
Project/Area Number |
21760114
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
神田 岳文 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (30346449)
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Keywords | アクチュエータ / 圧電体 / 超音波モータ / マイクロモータ / 強磁場 / 極低温 / 振動子 |
Research Abstract |
本年度は初年度に得られたデータをもとに、液体窒素温度(77K)以下の環境でも安定的に駆動する回転型アクチュエータの試作・評価を行った。 初年度に行った実験により、液体窒素温度以下、液体ヘリウム温度(4K)付近においても、PZTを用いた振動子は共振駆動が可能であることが示されていた。本年度はこの結果を元に、ボルト締め振動子を設計し、これを駆動源として回転型アクチュエータを製作した。低温環境では圧電素子や振動子を構成する金属材料の材料特性は非線形性を示す。振動子の予圧機構の設計にあたってはこの非線形性を考慮し、有限要素法を用いて低温環境で適切な予圧を得られる条件を求めた。 試作したアクチュエータは直径22mm、高さ31mmである。295Kの環境から4.5K付近の液体ヘリウムを用いた環境まで変化させた際のアドミッタンス特性を測定することにより、予圧が温度変化の影響を受けることが確認され、駆動環境の温度によって最適となる組み立て時締め付けトルクの値が異なることが分かった。さらに、低温環境中での試作したアクチュエータの回転駆動を行った。液体ヘリウムを用いた4.5Kの環境で、82kHz、150Vp-pの交流電圧印加時65rpmの回転を得ることができた。 以上により、低温環境下での材料特性に配慮して振動子設計を行い、回転型圧電アクチュエータの駆動を実現することができた。 さらに回転特性を向上させるためには、より低温特性のすぐれた圧電材料を駆動源として用いることが考えられる。一般にPZTに比べて低温環境下での圧電特性が優れるとされるPMN-PT材料の評価を行った。これにより次年度以降、より低温環境での特性が優れた回転アクチュエータ用振動子設計に必要なデータを得ることができた。
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