2010 Fiscal Year Annual Research Report
再使用型液体ロケットターボポンプに向けて-極低温キャビテーションの数値解析-
Project/Area Number |
21760118
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊賀 由佳 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (50375119)
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Keywords | 混相流 / ターボポンプ / 極低温流体 / 数値解析 |
Research Abstract |
本研究課題は,液体ロケットの再使用化を目指し,極低温環境下におけるキャビテーション不安定現象およびキャビティ気泡崩壊の数値解析を行うことを目的とし,本年度は,主流温度を変化させた液体窒素および常温・高温水における非定常キャビテーションの数値解析を行った.また,同均質媒体モデルによって気液界面を格子スケールで捕えることにより,壁面近傍における単一気泡の非球形崩壊挙動過程の詳細な数値解析を行った.さらに,均質媒体モデルにより再現された非定常キャビテーション流れに気泡数密度部のを考慮した代表気泡を流し,その気泡の内部圧から壁面での衝撃圧分布を評価することによって,単独翼まわりにおける壊食危険個所を予測した.ここでは,先の単一気泡の非球形崩壊の影響も考慮した.またここで,エロージョンを引き起こす可能性の高い,高迎角・中キャビテーション数状態における遷移キャビテーションの状態において,本解析手法ではキャビティ体積を過小評価することが判明した.これにより,キャビティ気泡の崩壊により引き起こされるエロージョン量を過小評価してしまった.これは,エロージョン量の予測手法の問題ではなく,非定常状態におけるキャビテーションの発生予測自体の問題である.本件に関しては,極低温流体ではないが,同じく熱力学的効果が顕著となる高温高圧水におけるキャビテーションの実験的研究である次の研究課題において,流れ場中の乱れ成分の詳細なデータ取得および解析を通じ,遷移キャビテーションの数値予測精度の向上を図りたいと考えている.
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