2009 Fiscal Year Annual Research Report
傾斜遠心顕微鏡を用いた血球の固体壁に対する付着特性の定量評価に関する研究
Project/Area Number |
21760119
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白井 敦 Tohoku University, 流体科学研究所, 准教授 (20302226)
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Keywords | 生物・生体工学 / 好中球 / 摩擦特性 |
Research Abstract |
傾斜遠心顕微鏡を用いて,ガラス平板(以下,ガラス基板)およびMPCポリマーをコーティングしたガラス平板(以下,MPC基板)上におけるHL60細胞の挙動観察および付着率や平均移動速度の計測を行った.まず,個々のHL60の挙動を観察したところ,基板に垂直な軸に対して回転する運動が見られた.また,瞬間移動速度の時間変化より,HL60が移動と基板への付着を繰り返すstick-slip運動が見られた.ここで,MPCポリマーをコーティングすることにより,瞬間速度の変動は見られたが,基板への付着時間の割合が大幅に減少することが確認された. 次に,血球の駆動力である遠心力の基板接線方向成分F_Tを変化させることにより,両基板ともに付着率が減少することが明らかになった.ただし,ガラス基板上ではF_Tの増加に対してなだらかに付着率が減少するのに対し,MPC基板上では急激に減少した.遠心力の基板垂直方向成分F_Nを増加させた場合,ガラス基板はF_Tの増加に対する付着率の減少の傾きは小さくなるが,MPC基板はほぼ変化が見られなかった.このことからMPCポリマーによる血球付着防止効果が確認された.最後に,HL60の平均移動速度Uから細胞と基板との間隔を見積もったところ,従来の研究において赤血球を用いて示された結果と同様に,Uの増加とともに基板から浮き上がることが示された.
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Research Products
(4 results)