2010 Fiscal Year Annual Research Report
非ニュートン流体乱流のラージエディシミュレーション解析法の研究
Project/Area Number |
21760122
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
太田 貴士 福井大学, 大学院・工学研究科, 講師 (10273583)
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Keywords | 非ニュートン流体 / 壁乱流 / 直接数値シミュレーション / 乱流変調 / 乱流モデル / ラージエディシミュレーション |
Research Abstract |
界面活性剤水溶液境界層流れを再現した直接数値シミュレーション(DNS)の結果をまとめたデータベースを解析して、その乱流特性を調べた。また、その結果をニュートン流体と比較したところ、以下のことが明らかになった。 層流から乱流に遷移する流れ場条件が異なっており、乱流モデルを使用するときの適用範囲が、ニュートン流体の場合とは一致しなかった。遷移後の乱流場に、既存の乱流モデルを使用するとき、あるいは、乱流遷移を適切に予測できる乱流モデルを開発するために、レイノルズ数などの流れ場条件を非ニュートン流体から換算する見積もりが必要になる。換算方法は、DNSデータベースから導出できる可能性があり、この点は今後の課題であると考える。この乱流遷移の予測については、本研究の当初の目的には含まれていなかったが、これまでの経緯によって、重要な課題であることが判明したので、次年度においても、DNSの結果に基づく流れ場の構造解析の観点から、乱流遷移の要因とメカニズムの解明に取り組む予定である。 次に、ラージエディシミュレーション(LES)の予測精度を調べた。これまでのところ、DNSによって、ニュートン流体と界面活性剤水溶液の乱流状態における壁面摩擦が異なっており、界面活性剤水溶液の乱流抵抗が小さいことがわかっている。それに対して、レイノルズ数などの流れ場条件に依存して、LESの予測精度が変化することがわかった。特に、高レイノルズ数では、LESによる乱流抵抗の予測精度の低下が顕著になった。非ニュートン流体の特徴を含んでいる粘性効果よりも乱流モデルへの依存が大きくなる条件で、ニュートン流体の場合と一致しなくなる。この現象は、当初の見通しとは異なり、乱流モデルの実用において非常に注目すべき結果である。次年度において、本結果を予測可能な乱流モデルの開発に取り組む。
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