2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760124
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 佑 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20402513)
|
Keywords | 感圧塗料 / 感温塗料 / 可視化計測 / マイクロ流れ |
Research Abstract |
近年,注目を集めるマイクロ熱流体デバイス内部での流体現象の解明を可能とする計測法を開発するため,酸素分子との相互作用あるいは雰囲気温度によって発光強度が変わる色素分子をプローブとした感圧塗料(PSP),感温塗料(TSP)によるマイクロスケール計測法の開発を行った.これまで数100μm程度に留まっていたPSPの空間分解能を,PSPを高秩序分子膜化した感圧分子膜(PSMF)を開発することにより劇的に向上させ,顕微鏡下において代表長さが50μmとなるマイクロノズル内を流れる気体流の計測を実現し,マイクロスケールでの気体流計測技術を確立した.本成果は,マイクロ気体流れでの圧力分布計測を始めて可能にした例であり,極めて卓越した成果である.PSPは従来気体流の圧力計測に用いられてきたが,その原理から気相・液相を問わず酸素濃度計測法としての応用が期待でき,本研究ではまず気体流での非定常酸素濃度計測を行い,詳細な流動構造の可視化及びその解析が可能であることを示し,酸素濃度計測としての計測法の確立を行った.加えてPSPの水中での特性評価を行い,気体中で使用される構成のPSPが水中においても優れた特性を示すことが明らかとなり,同一のPSPの構成で気相・液相を問わず酸素濃度の計測が可能であることを示し,本手法による気液二相流計測の実現可能性が示された.さらにTSPに使用する新規の色素として,量子ドットに着目しその特性評価を行った.その結果,量子ドットを用いたTSPが十分な温度感度を有することを確認した.そして,酸素濃度及び温度の同時計測を可能とするため,PSPの発光波長と干渉しない吸収・発光を示す量子ドットを用いたTSPとPSPの複合化を行った.その結果,従来のPSP・TSPの複合塗料に比べPSP・TSP間の相互作用を抑えた優れた複合センサーの実現可能性を示した.
|