Research Abstract |
本研究課題の目的は,熱電素子と燃焼触媒を組み合わせた,低質バイオガスからの低NOxエネルギー供給システムの提案と,その実現可能性を示すことである.平成22年度は,前年度に明らかとなったバイオガスの触媒燃焼特性を基礎として,触媒燃焼器と熱電素子を組み合わせた,実験室スケールの熱電併給装置の設計・試作した.本装置は,前年度に試作した触媒燃焼器の後段に,ヒートシンクと熱電素子からなるダクト型の熱電発電装置を追加したものである.本装置からは,熱電素子による電力と,熱電素子の冷却水の熱,および熱交換器からの排熱が出力として取り出される. メタン発酵により製造されるバイオガスを模擬した燃料(メタン50vol%,二酸化炭素50vol%)を用いた燃焼・発電実験を行った.具体的には,燃焼器における空気過剰率,熱電素子冷却水出口温度の変化が,熱電供給比率,総合エネルギー効率に及ぼす影響を評価した.その結果,(1)空気過剰率を低くして燃焼温度を高めることにより,熱出力・電気出力が共に増加して,総合エネルギー効率が向上すること,(2)空気過剰率を高くして燃焼温度を下げるほど,冷却水への熱移動が減少して,熱出力に対する電気出力の割合が増加すること,(2)冷却水温度を下げることにより電気出力が増加すること,などが明らかとなった.一方,本システムの実現には,燃焼器から大気への熱損失割合を低減すること,および熱電素子の最高使用温度の向上,および発電効率の向上が課題であることも明らかとなった.
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