| Research Abstract |
液滴燃焼の解析モデルとして,準定常状態を仮定した解析が幅広く行われているが,実際には,すす,液滴の温度変化,気相からの放射および水蒸気の凝縮等を含む非定常現象である.そのため,本研究では,すす生成,沸点,水蒸気の溶け込み特性が異なる単一燃料液滴に対して,大気圧・微小重力環境下で実験を行い,その結果に対し非定常解析手法を構築し解析を行った.燃料にはすす生成しやすいn-デカンおよびすす生成はないが水蒸気の溶け込みの影響のあるエタノールに対して実験を行った.液滴燃焼速度の非定常解析手法として,撮影された液滴の投影像に対して諧調変更を行った後,フィルタ処理によりノイズを除去し,画像中の物体をラベリングし不必要なものを削除した後,閾値で2値化画像に変換し,投影物体を回転楕円体として表面積を求めた.高速度カメラで撮影された液滴画像の解析を効率的に行い,その表面積の変化率から瞬間的な燃焼速度定数を求めた.結果,燃焼速度は液滴加熱による熱膨張,雰囲気性状,液滴サイズ,点火,液滴の昇温,すすの挙動に大きく影響を受けていることが示された.また,雰囲気中に二酸化炭素を加えることにより,すすの生成挙動が大きく変化し,燃焼挙動も大きく変化することが示された.これまでの準定常理論による解析手法では現象の理解には不十分である可能性を示した.また,液滴燃焼に及ぼす諸因子の影響を明確にすることで噴霧燃焼機構の理解に大きく貢献する.また,本研究で観察された非定常燃焼挙動のデータは数値計算モデル等を構築する上での指針となりうる.
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