2009 Fiscal Year Annual Research Report
非線形カオス力学による燃焼ダイナミックスの決定論的性質の解明とその応用
Project/Area Number |
21760165
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
後藤田 浩 Ritsumeikan University, 理工学部, 准教授 (00434712)
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Keywords | 燃焼 / 反応流 / カオス / 複雑系 / 熱流体 / 燃焼不安定 |
Research Abstract |
流動,熱・物質拡散,化学反応が相互に作用し合う複雑な非線形現象である燃焼現象は,今日のエネルギー供給システムで利用されており,希薄予混合燃焼は環境にクリーンな燃焼方式として近年着目されている.しかしながら,希薄予混合燃焼では燃焼不安定が生じやすいため,燃焼状態の適切な予測と最適な制御技術の開発が強く望まれている.本研究では,これまでの燃焼研究で導入されていないカオス力学に基づいた非線形時系列解析を導入し,不安定な燃焼状態の短期的な予測を行う上で重要となる位相空間内の軌道の決定論的な特徴を明らかにすることを目的とする.また,燃焼不安定の発生メカニズムの一端も明らかにすることを目的とする.本年度では,消炎限界付近で形成される燃焼不安定の時間変動をレーザートモグラフィー法によって測定し,燃焼不安定の時間変動から構築される位相空間内の軌道の自己相似性や不安定性などの力学的特性を定量化した.その結果,燃焼不安定の挙動は低次元決定論的カオスであることが明らかとなり,燃焼不安定の挙動を短期的に予測するために必要な決定論的な特徴(軌道群の平行度)が十分存在することが明らかとなった.また,燃焼不安定が生じるときのみ,燃焼生成物内に不安定な渦構造が形成される.この不安定な渦挙動が,密度の重い反応物(予混合気)と密度の軽い燃焼生成物との界面でレーリー・テーラー型不安定を引き起した結果,燃焼不安定の挙動が低次元決定論的カオスになることも明らかとなった.
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Research Products
(9 results)