2010 Fiscal Year Annual Research Report
非線形カオス力学による燃焼ダイナミックスの決定論的性質の解明とその応用
Project/Area Number |
21760165
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
後藤田 浩 立命館大学, 理工学部, 准教授 (00434712)
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Keywords | 燃焼 / 反応流 / カオス / 複雑系 / 熱流体 |
Research Abstract |
燃焼は流動,熱・物質拡散 化学反応が相互に作用し合う複雑な非線形現象であることから,複雑に変動する燃焼ダイナミックスを明らかにしていくことは基礎燃焼分野における火炎不安定問題の取り扱いにおいて非常に重要である.そこで本研究では,近年著しく体系化の進む非線形カオス力学の視点から,これまで定量化が困難とされてきた火炎面挙動の決定論的性質を解明することを目的とした.本年度では,消炎限界付近で形成される旋回流希薄予混合火炎の不安定な火炎面挙動をレーザートモグラフィー法によって測定し,火炎面の時間変動に対して非線形動力学理論や複雑ネットワーク理論に基づく時系列解析を適用した.非線形動力学理論に基づく時系列解析としては,順列エントロピー,サロゲート法を組み合わせた並進誤差,Sugihara & May (Nature, vol.344, p.734, 1990)によって提案される非線形予測法を用いた.また,複雑ネットワーク理論に基づく時系列解析としては,動径基底関数ニューラルネットワークを用いた.これらの時系列解析を火炎面挙動に適用した結果,火炎面挙動から構築される位相空間内の軌道群には低次元決定論的カオスである特徴が存在することを明らかにした. さらに,火炎面挙動が,決定論的カオスの重要な特徴である「非線形ダイナミックスの短期予測可能・長期予測不可能」を有することも明らかにした.また,高温燃焼生成物の不安定化が火炎面挙動の不安定化を引き起こし,反応物(予混合気)と燃焼生成物の界面で生じるレーリー・テーラー不安定が大きく関連していることも明らかにした.
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Research Products
(15 results)