2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760168
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 公彦 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (90325241)
|
Keywords | 振動工学 / 制御工学 / 車両工学 / 信号処理 |
Research Abstract |
生体計測の分野で用いられている独立成分分析(Independent Component Analysis,略称ICA)と呼ばれる新しい信号処理法を自動車および鉄道車両を例にして、機械システムの振動源の推定に用いることを試みた。未知である動的システムにおいて、次数だけは既知であるという前提の下、未知の線形行列を動的に同定することを提案した。この処理により、動的な系であっても、軌道不整などの振動源を推定することができる.このような手法は振動工学の分野で行われている例は少なく,学術的にも独創的な研究である。 前年度(21年度)は実際の鉄道台車を用いた実験を通じて、台車枠の4か所で計測された加速度から、レールのつなぎ目などの特徴的な軌道不整を推定することを行った。また、自動車を模擬した模型装置を作成し、路面不整を模擬した振動を与え、前後で時間差をもって入力される振動を、車体に相当する剛体の加速度から推定することができることを示した。 本年度(22年度)は、フーリエ変換などの既存の信号処理法に対する独立成分分析法の有意な点を明らかにすることを重視して、研究を進めた。具体的には、前後で時間差をもって入力される路面不整を模擬した振動に、前後に同時に入力される振動を加え、それらを分離することを、模型実験および数値計算を通じて行った。また、2つの種類の振動の周波数が近い時と、離れている時で実験と数値計算を行い、周波数が近くても分離できることを示した。これにより、既存の信号処理法では困難であった、類似した周波数特性を持つ振動を分離し、振動源を推定できることを示すことができた。2年間の研究を通じて、本手法の有効性を明らかにすることができた。
|
Research Products
(4 results)