2009 Fiscal Year Annual Research Report
ディスクブレーキの鳴きに摩擦接触部の摩擦係数と動剛性の高周波数の変動が及ぼす影響
Project/Area Number |
21760172
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
大浦 靖典 The University of Shiga Prefecture, 工学部・機械システム工学科, 助教 (60512770)
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Keywords | 振動学 / 動剛性 / 摩擦係数 / 摩擦振動 |
Research Abstract |
ディスクブレーキの制動時に生じる鳴きの発生メカニズムを解明するためにはブレーキ各部の振動特性を明らかにする必要がある。特に制動力の伝達が行われるディスクとパッドの摩擦接触部の特性は鳴きに影響が大きい。しゅう動状態での摩擦接触部特性の測定が困難であるため,鳴き解析では静的に測定した値や実験と解析の結果が一致するように調整した値が用いられている。しかし,高周波(1kHz以上)かつ微小振幅(1~40μm程度)の鳴きが発生するしゅう動状態の下では、摩擦接触部特性が変動し、鳴きに影響を与えている可能性がある。 平成21年度は、しゅう動状態での鳴き周波数帯域(1kHz~4kHz)における動剛性を測定できる装置を開発した。一定速度で回転するディスクに、実機制動圧に相当する圧力でパッドを押付けた状態で、鳴き振動と同等の周波数と振幅をもつ振動を加えることで、鳴き発生時に近い状態での動剛性が測定できる。ただし、十分な測定精度を得るためには、引き続き装置を改善する必要がある。 測定の結果、しゅう動時の動剛性は、静止時の動剛性に比べて、低下することが明らかになった。また、しゅう動時の動剛性は、静止時の動剛性と同様、摩擦接触部の圧力が大きくなるほど大きくなることが明らかになった。さらに、しゅう動の速度を0.01m/sから1m/sまで変化させて、動剛性の速度依存性を測定した。その結果、動剛性の大きさは、しゅう動速度には依存しないことが明らかになった。 鳴き周波数帯域におけるしゅう動時の動剛性を精度よく測定できれば、鳴き解析の精度が向上し,鳴きが発生しにくい摩擦材開発の指標として利用できる。また、しゅう動時の摩擦係数の高周波数の変動を同時に測定できるように装置を発展させることで、現在の鳴き解析では再現できていない摩擦係数の変動に起因する鳴きの発生メカニズムの解明と鳴き対策の提案につながる可能性がある。
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Research Products
(3 results)