2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒステリシスエネルギーによる新しい耐震評価法の確立
Project/Area Number |
21760174
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
皆川 佳祐 東京電機大学, 工学部, 助教 (30453799)
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Keywords | 耐震 / 地震 / 防災 / 機械力学・制御 / 疲労寿命 |
Research Abstract |
本研究は,耐震性評価手法として近年注目されている「エネルギー釣合式(総エネルギー入力)」と疲労強度学における「ヒステリシスエネルギー」との関係を解明し,ヒステリシスエネルギーから耐震強度や疲労損傷時期の推定を行う手法を構築することを目的としている.研究初年度は正弦波による検討を行い,変形量が同程度であれば,破損に要するヒステリシスエネルギーと総エネルギー入力も同程度になることを確認した.そこで,本年度は,エネルギーが入力される速度の影響を検討するため,固有振動数の異なる供試体での検討を行った.また,地震時の構造物の応答を見込み,ランダム波により破損に要するヒステリシスエネルギーと総エネルギー入力の関係を検討した. まず,エネルギーが入力される速度の影響を検討するため,昨年度と固有振動数が異なる供試体で,正弦波による疲労破損を伴う振動試験を行った.検討の結果,固有振動数が異なると,同一の回帰曲線で疲労に要する時間とエネルギーの関係を表現するのは困難であることが確認された.一方,固有振動数が異なっても,変形量が同程度ならば破損に要するエネルギーは等価になる傾向が確認できた.次に,ランダム波による疲労破損を伴う振動試験を行った.地震時の機械構造物の被害を想定し,ランダム波は供試体の固有振動数付近に卓越振動数を持つものを作成した.その後,振動試験により得られた応答変位を入力変位とする曲げ疲労試験を行った.その結果,正弦波の場合と同様に,変形量が同程度であれば,破損に要するヒステリシスエネルギーと総エネルギー入力も同程度になることを確認した. 以上より,変形量に着目することで,総エネルギー入力とヒステリシスエネルギーが統一的に評価できることを確認した.
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