Research Abstract |
近年,再生可能エネルギーの積極的な利用が注目されている。しかし,再生可能エネルギーは発電が間歇的であるため,電力を安定供給するためには高効率な電力貯蔵技術が要求される。そこで,本研究では電力貯蔵フライホイールに着目した。そして,フライホイールを支持する際の回転損失を極力小さくすることを目的に,ローレンツ力型磁気ベアリングを開発し,小型の電力貯蔵フライホイールに適用した。 昨年度,試作機2号機を製作し,基本性能の評価を行った。しかし,実験の途中で永久磁石を固定していた接着剤が剥離し,実験装置が破損してしまった。そこで,今年度は安全性を向上させることを目的に実験装置(試作機3号機)の再設計を行った。永久磁石の固定には接着剤ではなく,専用の部品を設計・製作し,ねじにより固定する設計とした。そのため,試作機2号機ではエアギャップでの磁束密度を高めるために半径方向に着磁した永久磁石を備えていたが,試作機3号機ではこれを排除する必要があった。これによりエアギャップの磁束密度は低下したものの,製作した実験装置の力係数は約19N/Aとなり,以前の実験装置にくらべ約65%に低下したが,本実験装置を制御するためには十分な強さであった。次に,製作した実験装置の基本特性を確認した。そして,約3000rpmまでの範囲でロータを安定に浮上回転制御することを確認した。しかしながら,逆起電力により,モータの回転数を3000rpm以上にすることができなかった。今後,モータの電源電圧の向上,制御方法の変更などにより,より高速な回転を目指す。さらに,ローレンツ力型磁気ベアリングの回転損失を確認するために,大気中において,フリーラン実験を行い,磁気ベアリングとボールベアリングの減速特性を比較した。そして,ローレンツ力型磁気ベアリングがボールベアリングに比べ,回転損失を約1/3に低減できることを明らかにした。
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