2011 Fiscal Year Annual Research Report
ドライバの認知的・身体的特性に基づく間接型運転支援システムに関する研究
Project/Area Number |
21760197
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平岡 敏洋 京都大学, 情報学研究科, 助教 (30311749)
|
Keywords | 運転支援 / 動機付け / 生態学的インタフェース / 安全運転 / 知覚特性 / ウインドシールドディスプレイ |
Research Abstract |
H23年度は,昨年度までの知見に基づいて,安全運転を促す間接型運転支援システムとして,前方障害物衝突防止支援警報システム(FOCWS : Forward Obstacles Collision Warning System)を提案した. このシステムでは,前方障害物との衝突を回避するために必要な減速度である衝突回避減速度(DCA : Deceleration for Collision Avoidance)を計算し,DCAの値に応じてバーが伸縮する視覚情報提示と,閾値を超えると警報が鳴る聴覚情報提示を行う.DCAの値と運転者が踏むべきブレーキペダルの操作量は相関が高く,この視覚情報提示系は生態学インタフェースを備える.ドライビングシミュレータ実験により,DCAに基づくFOCWS使用時において,1)自発的な安全運転が促されて衝突事故の危険性が低減する,2)システムを利用することで安全運転の技術向上に励むことができるといった内発的動機付けが生じうる,ことが確認された.しかし,メータディスプレイ上にDCAの視覚情報提示を行うことは視認負荷が高いという結果も得られた. そこで,DCAの値に応じた色変化枠をウインドシールドディスプレイ(WSD : Windshield Display)上で前方障害物にオーバーレイする形で提示する視覚情報提示システムを提案した.ドライビングシミュレータ実験により,メータディスプレイ内にDCAのバー表示を行うシステムを比較した結果,1)WSDを用いることで衝突リスクの認知が早まり回避行動も早まる,2)WSDを用いるシステムは視認負荷が少ない,という利点が確認された.ただし,欠報時には,WSDを用いたシステムの場合に回避行動が遅れてしまう可能性があるという結果も得られた.これは,WSDを用いたシステムの方が正報時の有用性が高く,結果としてシステムに対する過信が相対的に高くなったことが原因と考えられる.
|